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カテゴリー「カンゲキの記録」の記事

2018年10月17日 (水)

まさに世界の終わり

死の宣告を受けた主人公が、18年ぶりに実家に帰ってくるというお話。
映画にもなっている作品で、映画を見たときは、どんな家族にもどこか通じる部分がある、どちらかというと「あるある」で観客を引っ張る作品だと思ってたんです。
でも、そんな私は甘かった…。舞台で印象がガラッと変わりました。

死の恐怖に向き合う孤独と、18年ぶりの家族との再会でのどうしようもないすれ違い。
二層にドロ沼な作品…。そして、人の心の深淵を覗き見るような作品。

内博貴くんの研ぎ澄まされたお芝居による、主人公ルイの独白シーンが壮絶。
作者のラガルスはHIV感染を知った年にこれを書いたそうなので、ルイの独白はそのままラガルスの心の叫びだったのだと思います。

18年ぶりの家族がいい顔を見せても本音をぶちまけても、どんなに揉めても分かり合えなくても、ルイにとってはすべてが茶番。彼が直面している恐怖はこの人たちにはわからないんだなぁ、と。

でも、映画だけじゃなくて舞台も観て本当に良かった!
舞台で改めて、ラガルスの原作が描く世界の底なし沼な深さが良くわかった気がします。

今日はアフタートークもあったのですが、皆さん饒舌で、それぞれにお話がとても面白かった。とくに石丸さんの言葉の選び方がシャープでわかりやすく、それでいてなるほどと目を開かされ、このお芝居を紐解いてきた繊細な積み重ねの過程が垣間見えるようでした。


2018年10月16日 (火)

演劇実験「根本宗子」 第一実験室『コンビニ』

前々から気になる存在だった根本宗子さんが何やらオモロそうなことをされるということで、行ってきました!

同じ30分ほどのお芝居を「草」と「肉」の2チームが連続して上演するという試み。
草チームの二人はストプレ系の役者さん、肉チームはその名の通りダンス系の肉体派。
チームに合わせて演出も変えるので同じ脚本なのにまったく違うお芝居となり、観客はそれを見比べられるというわけ。

客席に座ると、すでに4名が舞台上に。開演前の過ごし方の違いから見せようという趣向で、熱くウォームアップに励む肉チームとボソボソ会話してるだけの草チームがすでに対照的(笑)

コンビニで、超イヤな奴のバイトリーダーの若造が39歳の使えない新入りをいじめまくっている。でも、やがて少しずつ立場が逆転していき…という展開。
草チームバージョンはとにかく観ている方もつらくていたたまれなくなるのに、それを肉チームがやると終始一貫笑いの渦に!
同じ脚本がこれほどまでに別物になるとは!!

観てて思ったのは、日常のさまざまな場面も、もしかして捉え方次第で草チームのようにも肉チームのようにもなるのかも、ということ。

なんといいますか、「もっともっと自由でいいんだ〜〜!」と思ってしまった。
観る側も心が解き放たれるような、気持ち良い舞台でした!


2018年10月13日 (土)

「カヅラカタ歌劇団」の本気を観た!!

なぜこれほどまてに注目されてるんだろう?
それが一番知りたかったことでした。

東海高校カヅラカタ歌劇団、今年の演目は『ロミオとジュリエット』、ようやく観ることが叶いました。

それでわかった人気の理由その1。
根本の部分がタカラヅカと共通してる!
「清く正しく美しく」に通じる精神。純粋な気持ちで全力投球する姿勢。
観た時に受け取るもの、元気がもらえる感覚がタカラヅカと同じ。
やはりタカラヅカは学校なのだということも、逆に改めて感じたのでした。

そして理由その2。
……男役が、フツウにカッコいい💕

まだ未成年な彼らは男の生々しさを感じさせないところがある。その意味でタカラヅカの男役に近いものがある気がします。
そして、娘役も当然ながら男に媚びる色気は皆無。その意味でタカラヅカの娘役に近い。しかもけっこう綺麗な人も多い(^-^;
女子校がやれば歌もダンスももっと上手いだろうけど、男子校だからこそよりタカラヅカに近づける部分があるのかも知れません。

さて、リアル十代の少年たちが演じるロミジュリは、「まさにロミジュリの世界」でした。
ロミオの彼はちょっと柚希礼音風でキュンとさせられます😍
「ジュリエット可愛い〜」という声も幕間に多く耳にしました。この劇団の難しいところは娘役の歌(音域が全然合わない)だと思うのですが、ジュリエットの彼女というか彼、裏声も良く出てる。
(…しかし後にこのジュリエットに関して衝撃の事実が判明)
この二人がいたからロミジュリできたのでは?と思うくらい。
その他にもすっごくワイルドなティボルト。チャラ男なマーキューシオ、誠実そうなベンヴォーリオとそれぞれに適役です。

私のお気に入りは、乳母のお付きのぽっちゃりピーターくん💕
まだ中2とのことなので名脇役として成長して欲しいな。
世界の王では手拍子、綺麗は汚い…では客先降りもありましたよ!

しかし、本気は舞台の上に限らなかった!

◆衣装の本気
これは団員の皆さんのお母様方が作られているそうですが、今年は主役3名の衣装3着について、名古屋モード学園で舞台衣装を学んでいる人たちが作られたとのこと。
とにかく再現率すごい!
これはいつか日比谷シャンテさながらの衣装展示をやって欲しいレベル。

◆オケの本気
基本は録音なのですが、要所要所で生オケとなり、これがすっごく贅沢な感じ。
オケは東海学園交響楽団の皆さん。弦楽器が充実してるから重厚な響き〜♪
生オケだったのは天使の詩、乳母のソロ、エメ、二人の初夜の場面、最後の両家の大合唱などでした(正確な曲名でなくてすみません)。

◆舞台装置の本気
普通の講堂にちゃんと銀橋が作られていた! そして下手にバルコニー。
でも、場面転換はカーテンを引いて行うので、その度にガ、ガ、ガ〜〜と音が響くのもご愛嬌(^-^;

◆オペレーションの本気
懸案だった幕間トイレ問題もスムーズにいって一安心。案内もとてもわかりやすくて、大きな混乱なく誘導されていたのも実はすごいことだと感心しました。

◆プログラムの本気
プログラムとポスターも河合塾学園トライデントデザインの専門学校の方が手がけているとのこと。
そして完売とな。早めに買って良かった〜

驚きだったのは本気のフィナーレまであったこと。
小池先生ミュージカル定番の銀橋ソロに始まり、ラインダンス、男役群舞そしてデュエット、パレードまで。
しかもみんなアピール力がすごくて目線飛ばしまくり! 春にショーの公演をやっているそうですが、その成果でしょうか?

そして団長による締めの挨拶……が、何とジュリエットの彼だったことに、これまたびっくり!!
素顔の彼はごく普通のしっかり者な高校生だったのでした。

終演後、出口の記念撮影コーナーが長蛇の列に!すごい人気です。でもこれ、あくまで男子校の生徒が期間限定でやっているものだから、決してタレント化することはないし、それがまた清く正しく美しくていいんですよね。こうした構造もまさにタカラヅカと同じだと思います。

私もファンになりそう。いや、なりました💕

※写真はスマホで撮ったものなので、雰囲気だけでも伝われば幸いです。



銀橋と生オケ、こんな感じ。


講堂入り口。


2018年10月 5日 (金)

こまつ座『母と暮らせば』

初日を観劇。映画版も見ましたが、結末も含め大きく違ってました。
そして私は舞台版の方が好きです。
変わらないセットでの、母と子の二人だけのほとんど会話劇。
生きる苦しみと生きたかったという思い。どちらも、とても重たい。
でも、助産婦であった祖母と母から医者を目指していた息子へ、命を守る仕事への心意気は伝わっていて、その誇りが生きる力となっていく…。
シンプルで制約のある表現だけに、逆にメッセージが鮮烈に伝わってきました。

息子役の松下洸平くん良かった!!
温かくてユーモラスで、本当は生きたかった彼の思いに胸が抉られました。
そして、死の瞬間を語る場面は映像よりもはるかに怖かった…

富田靖子さんがこんな母親役をやることに時の流れを感じています。
でも、やっぱり可愛らしいお母さんでした。
そしてそれがこの作品には合っていると思いました。

『父と暮らせば』では大号泣したのに対し、こちらはじわっと目に涙が浮かぶ感じ。
そして、舞台の良さ、舞台ならではの表現の可能性を改めて感じることができたのも嬉しかったです。


2018年10月 4日 (木)

NTLive『フォリーズ』

ナショナル・シアター・ライブで上映されるミュージカル『フォリーズ』の試写会に行ってきました。
NTLive初のミュージカル上映とのこと。作詞作曲はソンドハイムで、1971年に初演された作品です。
不勉強な私め、タイトルのイメージから何となくレビューシーン満載なキラキラミュージカルかと思い込んでいたのですが…全然違ってました(>_<)
切なくて、しょっぱくて、時には、塞がっていたはずの心の傷口が再び開いちゃいそうなフレーズも…(褒めてます)
要するに我が人生の過ちの数々が凝縮されているような作品でした(とても褒めてます)。

かつてブロードウェイのレビュー全盛時代に踊り子だった女性たちが、劇場の閉鎖に伴い20数年ぶりに集まって同窓会を開催するというお話。
その中で、対照的な結婚生活を営んでいる2組のカップルを主軸に物語は進んでいきます。地味だけど堅実で幸せそうな家庭を築いている風のサリーとバディ、誰もがうらやむ華々しい成功を勝ち得たベンとフィリス。20数年ぶりの再会をキッカケに4人の心は大きく揺れます。さてどうなるか???

なかなか上演されない作品だそうですが、それもわかる気がしました。
何しろほとんどの登場人物の「若い頃」を演じるキャストがもう一人必要。キャスティングには一年かかったそうです。同一人物の「今」と「若い頃」が両方登場して芝居を展開するシーンはこの作品ならではの面白さです。
こういう作品こそNTLiveで見るべきですね。

ソンドハイムが11回書き換えたという楽曲の数々は、身につまされるものばかりでちょっとツラいけど聞き応え十分。
今月19日からTOHOシネマズ日本橋などで上映(上映館は NTLiveのサイトをご参照ください)。
とくに中高年の方向けかも。オススメです!!



2018年9月14日 (金)

進化した!「マンザナ、わが町」

こまつ座「マンザナ、わが町」@紀伊國屋ホール。
3年前にも一度観ており、その時のキャストとほぼ同じなのですが、こんなにパワフルな作品でしたっけ…??

と、呆気に取られるくらいパワーアーーーップしていました!!!
前回ももちろん面白かったけど、どちらかというと社会派で生真面目な作品という印象で、私もいかにも優等生的な感想を書き残しています。

でも今回は場面ごと、登場人物ごとのメリハリが効いていて、舞台としてシンプルに楽しめた。
そして、前回よりうんとたくさん笑った気がします。
こういう再演は素敵です。

戦時下のアメリカ、マンザナという町の強制収容所の5人の日系人女性が、すったもんだしながらも、最後は力を合わせて難題を乗り越えていく。女は強し!な物語。

おそらく、続投となるキャストの皆さん(土居裕子さん、熊谷真実さん、伊勢佳世さん、吉沢梨絵さん)の進化が大きいのではないかと。
皆さんキレッキレで、とくにキーパーソンとも言えるサチコさん(伊勢)の破壊力すごい!
しかし、ただ一人新しく入った北川理恵さんも負けてません、むしろ強烈なスパイスになっていたような。前回とキャラが前回と少し変わったのかな。18歳という最年少ながら一人背伸びして頑張ってる感じの女の子。
1幕ラストの洋楽&浪曲の掛け合いは衝撃でした。ほんと、こんなにピッタリ合うなんて。

これは前回も感じたことですが、暗いご時世の物語の割には衣装の色合いが鮮やかで美しく、それぞれの個性に合ったデザインで目を引くのです。
それは物語終盤の台詞にもある「どんな色だって美しい」ということにも通じているのかも知れない、というのは今回気付いたこと。

様々な個性の人が集まって持ち味を発揮する物語が私たちは好きですよね。
多様な個性を比べて、それぞれの魅力を愛でる、それは本来楽しいことのはず。
その感覚が、どのようなレイヤーでも同じであれば良いのにね。
ふっと、そんなことを思ったのでした。


2018年9月13日 (木)

「チルドレン」

観てきましたメモ@世田谷パブリックシアター。
物語の舞台は、事故を起こした原発(福島の原発を想定していると思われる)のすぐそば。
登場人物は、かつて原子力発電に関わっていた3人の科学者。一組の夫婦と、その女友だち。

自分たちの科学研究が引き起こしたことにどう責任を取るのか?
そんな深い問題提起と同時並行で、ごく身近で俗な男女の愛憎ドラマが進行していくという構成が面白い。
つまりそれって、つい「自分たちではどうにもならない」と思いがちな様々な問題が、じつはとても身近なものであることを示しているのかもしれない。

ヘイゼル(高畠淳子さん)とローズ(若村麻由美さん)、世の中の女性はいずれかに分類できるに違いないと思える対照的なキャラ(私は若村さんタイプかな)。
でも、お二人ともとてもカッコいいなと思いました。
女性の生き方、どちらもあり、です。
そして、世の中の男たちは多かれ少なかれロビン(鶴見辰吾さん)だと思ってしまった(笑)

「今なら分かる。世界が完全に崩壊しないためには、
わたしたち、ただ欲しいからって
何もかも手に入れるわけにはいかないんだって」

まさに天災が続く今、ローズが言うこのセリフを改めて自分たちに言い聞かせるべきときなのかなと思います。
でも同時にこれ、個々人の人生にも言えることなのかも。

日本人にとっては我が事の物語ですが、じつはイギリスの脚本家の作品です。
9〜10月に全国8都市で上演予定。
濃密な演劇体験を欲している方におすすめです。


2018年9月11日 (火)

ぱぷりか「きっぽ」

三鷹芸術文化センターが毎年秋にやっているMITAKA "Next" Selectionの第2弾。
ぱぷりか「きっぽ」。
「きっぽ」ってどういう意味だ? なんか聞いたことある〜と思いつつググってみたら、山口の方言で「傷」だって。
私、使ったことないけど、なるほど。

家族の「理想」と「現実」がテーマ。
東京の売れない?カメラマンが娘を連れて広島にやってきて、広島の女性と再婚。彼女にも息子と娘がいて、姉も同居していて、賑やかで楽しい大家族生活のスタートを夢見るのだけど、現実ははてさて??
まったく同じシーンの「理想」編と「現実」編を交互に描く手法が斬新。それに何といっても山口弁にとても近い広島弁のお芝居ですから私にとってはめっちゃリアル! 他のお客さんの3倍は作品世界に入り込んで堪能できた自信があります。田舎のヤミみたいなのもちょっと描かれているのも怖くて面白かったな。

今日は「城山羊の会」という劇団の山内ケンジさんも交えてのアフタートークもありまして、これがなんだかダメ出しみたいで、でもお陰で作品の裏設定も分かっちゃったりして。いつものアフタートークと趣が違って新鮮でした

演出の福名理穂さん、とても小柄で可愛らしい感じの女性でびっくり。ご自身のお母さんに向けてのメッセージを込めて描いた作品だそうで…ははぁ、だから「きっぽ」なのかな。アフタートーク聞いたおかげで、ますます等身大で親しみが持てる作品となりました。17日まで。


2018年8月21日 (火)

ハイバイ「て」

オススメされましたので、観てきました。

認知症の祖母の元、バラバラになっていた4人兄妹が久々に集うという話。リアリストぶる兄とお調子者の弟、何事も綺麗にまとめたい姉とクールな妹、久々の再会なのに喧嘩ばかりの子どもたちを黙って見守る母、元DV男の父、そして何故か修羅場に巻き込まれてしまった赤の他人の前田君www……至るところに家族あるあるが散りばめられた物語。

客席が舞台の双方にしつらえてあり、同じ場面を色んな人から色んな方向から描く手法が面白い。おかげで、あ〜この人の立場だとそうだよねぇといちいち共感したり発見したり。
最初は何でイヤな奴!と嫌悪していた兄貴が最後には一番愛おしくなってしまったのは自身の長男長女気質ゆえでしょうか。逆に「この人まじウザい!」と思っちゃった人もいたけど、それも彼彼女なりに良かれと思ってのことなのでしょう。

家族は大事にしたい、しなきゃいけない。でもそのやり方が人それぞれだから上手くいかない。でも気持ちは確かに同じなの…かな? 大変だけど頑張ろう…って何を?
なんだかそんなことを改めて思う作品でした。



2018年8月17日 (金)

NTライブ「ハムレット」

本日付の日経MJでも取り上げさせていただいたナショナルシアターライブの「ハムレット」(2015年)、見てきました。
当初2日のみだったアンコール上映期間が延びたおかげで見に行けたよ。ありがたや〜。

元のシェイクスピア戯曲にかなり改変が加えられている脚本・演出らしく賛否両論あったそうですが、私にはめっちゃわかりやすくて良かった!
クローディアスやガートルード、果てはフォーティンブラスの存在理由に至るまで、周辺の人物の人物像や行動背景も理解、納得しやすくて、これまで観た中で一番身近感のあるハムレットでした。
といっても私のハムレット歴は2008年のミュージカル(成河ホレイショーに惚れいしょ〜だったやつ!)とタカラヅカ版だけの貧しい歴なんですけどね(>_<)

お目当てだったベネディクト・カンバーバッチ、大人気の役者さんでしかもハムレットを演じると言うからにはめちゃめちゃイケメンなのかと思ったらそうでもなかったけど(すみません)、品があるのにどこか親しみやすいようなところもあって、やっぱり素敵な役者さんです。
そんな彼が演じるハムレットはとてもチャーミングで等身大で、これまでになく親近感のわくものでした。この親近感というか、人として好きにならずにはいられない感じって人気役者の必須条件なのかもと思う今日この頃です。

というわけで、「ハムレット」という作品への距離がぐっと縮まった今日の観劇(鑑賞?)でした。これほど普遍的な作品を書ける人がなぜ16世紀末のイギリスに出現したんだろう? 今ウィキペディアで、シェイクスピアの没年が52歳であると知って衝撃を受けています。


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