村上春樹の小説の中で『ノルウェイの森』が大好きと言うと、ハルキストの皆さまには鼻で笑われますが、私はまさにそういうヌルい読者です。
しかも、『ねじまき鳥クロニクル』は昔読んだものの気色悪い拷問シーンしか記憶になく、再読を始めたものの3分の1ぐらいのところまでしか行き着けませんでした。
ですから、こんなこと言う資格があるのかわからないのですが・・・それでも原作の世界観が見事に体現されていたように思います。
インバル・ピントさんの舞台美術、振付の斬新さが村上ワールドの摩訶不思議な感じをよく表し、いっぽうで大友良英さんの音楽からは村上春樹の小説っぽいナチュラルな心地良さが感じられました。
キャストの皆さんもそれぞれ登場人物のイメージにぴったり。とくに笠原メイ役の門脇麦ちゃんの天真爛漫さには救われました! 綿谷ノボル役の大貫勇輔くんもヒール役の格好良さがたまらない、かなーりヤバいダンスシーンの見せ場もあります。吹越満さん演じる間宮中尉の壮大なる回想シーンもお見事でした。
もしかすると原作の世界が舞台でこうして立体化されることで、そこからまた何か小説読んだだけじゃわからなかった深いものが受け取れてるかも知れないですね。そうだといいな。
(そして以下は『ノルウェイの森』好きの個人的な妄想)
結局、『ねじまき鳥クロニクル』も『ノルウェイの森』も物語の基本構造はすごく似てるんじゃないかなあと思うんですけど、どうでしょう?
「やれやれ」が口癖でコーヒー淹れたりパスタ茹でちゃったりする癒し系男性(岡田トオル=ワタナベ君)が、心を病んだ女性(岡田クミコ=直子)を愛し、闇の淵から救い出そうとする。いっぽうで弱さを抱えつつも自力でそれを克服できる生命力溢れる女性(笠原メイ=緑)が男性の心の拠り所になる・・・どちらもそんな話ですよね。
そこで妄想なんですけど、今回風味の演出(舞台美術や音楽も)とキャストで『ノルウェイの森』もやってくれたらいいのに。とくに緑は門脇麦ちゃんにぴったりじゃないですか!(直子と緑なら絶対に緑派の私が言うんだから間違いない) 直子の病んだ感じも今日の成田亜佑美さんのイメージ。ワタナベ君はまさに渡辺大知くんでワタナベつながり。
昔、映画化されたものが酷くて消化不良感があるので、つい妄想に走ってしまいました。
以上いろいろ書きましたが、ヌルい村上作品読者としては思った以上に楽しめました。
これから原作の続き読もうっと。
※おまけ
大河ファンの方はロビーのお花にも注目を!
