成河さんカルチケインタビュー、掲載後に思うこと
この土日に朝日新聞「論座」に掲載になった成河さんカルチケインタビュー、反響大きくて書き手としても嬉しく思っています。絶賛系のコメントが目に付きますが、本当は「そうは言ってもねぇ」と思われた方も少なからずいらっしゃったでしょうし、そういうモヤモヤこそがさらに議論を深めていくべき種なのだと思います。
この貴重な機会をいただき、今、私自身が思うことをいくつか書き留めておきます。
まず、ここに書かれた「断絶」の問題は観客や演じ手だけではない、伝える側にもあるということです。私もこの立場にあるので、そのことを痛切に感じます。
でも、それは観客や演じ手が断絶しているのと リンクしているのですから根が深いです。俗な話ですが一フリーランスとしての書き手の生き残り戦略を考えた場合、特定のジャンルに特化する方が圧倒的に効率は良いのですよね。フリーランスにとってわかりやすいキャラ設定はとても大事。たとえば私の例をとっても「タカラヅカだけの専門家」と銘打った方がわかりやすいし、より幅広いファンの方の支持を得られるかも知れません。本も売れるでしょう(笑)
もちろん、それぞれのジャンルの奥が深すぎて他に手を広げる余裕がないというのはあると思います。でも、余裕がないならまだしも、敢えて目を向けようともしないスタンスかあるのは残念なことです。
そんなわけで、誰かがあるときふと他のジャンルに関心を寄せてみようと思ったときに壁が立ちはだかる。メディアやコミュニティも断絶してタコツボ化しているから入り込むのが難しい。悪循環だなと思います。
私も一観客としてそれを痛切に感じてきました。私は成河さんとは逆の流れでずっとタカラヅカとミュージカル、いわゆる商業演劇中心の観客でした。ですが数年前から「最近の日本のミュージカルってなんだか面白くないかも」と漠然と感じるようになり、じゃあ面白い舞台はどこにあるんだろう?と思っていわゆるストプレ、小劇場作品も積極的に見始めたんです。ところが情報をどこで集めたら良いのかが全く分からなくて最初はとても困りました。
今の私は、タカラヅカを主たる専門として深掘りしながらも、今の日本の演劇全体(古典芸能から2.5次元まで)を出来るだけ幅広く見ていこうと思っています。フリーランスとしてはまことに美味しくない戦略かも知れませんが、それが今の自分の気持ちに沿っているのだから仕方ないし、長い目で見たときそれは絶対に必要なことだと確信しています。それで新しく見えてくるものもきっとあるはず。だから険しい道を歩むのだ。
でも、そう思えるのは私の観客としての原点がタカラヅカにあることがとても大きいと思うんです。歌舞伎から2.5次元に至るまでタカラヅカは様々なジャンルの演劇のエッセンスを貪欲に取り込んできた芸能ですから、タカラヅカを深掘りしていれば自ずと興味は外に広がります。タカラヅカファンで良かったと思うことのひとつです。
今回のインタビューでは主にミュージカルをはじめとした商業演劇系の観客にスポットが当てられていますが、小劇場演劇がお好きな方はミュージカルやタカラヅカを全くご覧にならない方が多いですよね。でも、逆の流れも起こったらいいなと切に思います。そうそうエリザベートも当日券ありますしね(笑)
※写真は本文と関係ないけど…庭の紫陽花。
今日は梅雨の晴れ間💕
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