スリル・ミー
「衝撃過ぎて言葉も出ない」とかつぶやいちゃったけど、やっぱりちゃんと文字にして残しておこう。
「スリル・ミー」、これはすごい作品だ。
※まだ工事中っぽい公式ページはこちら
登場人物はたった2人、気弱でMでバードウォッチングが趣味の「僕」と、一見傲慢でドSでニーチェを崇拝している「彼」の2人だけ。
2人がかつて犯した残忍な誘拐殺人事件のことを、囚人として34年間獄につながれている「僕」が語り始める…。
なんと、実際にあった殺人事件を題材にとって創られたらしいです。
2人はともに金持ちの息子で、しかもエリート。一見、まばゆいばかりの未来が約束されている。
だけどその実は、「僕」は「彼」なしで生きて行けないくらい「彼」に依存していて、「彼」はそんな「僕」の心を弄び、意のままに操ることを生き甲斐としている歪んだ愛の関係だ。
病んでる、超病んでる。
だけど、ほんとうは誰もが心の奥底に持っているものなんだよね。「僕」の闇も、「彼」の闇も。それを突きつけられるから、ほんとせつない。
「彼」にとっては、自分の超人的能力だけがすべて。孤独な「彼」は自分を試すため常に「スリル」を求めずにはいられない。その「スリル」に付き合わされるのが「僕」だ。常識人である「僕」はイヤで仕方ないが、「彼」の愛欲しさゆえに留まることができない。
最初は放火、つぎに窃盗…「彼」の欲望は次第にエスカレートし、ついに凄惨な誘拐殺人事件が計画されることになる。それでも「彼」のいいなりになるしかない「僕」。
だが、この誘拐殺人は「僕」のとんでもないミスにより失敗に終わる。エリートだった2人は囚われの身となり、裁判を受け…そして、驚きの結末。「僕」と「彼」の関係性は思いもかけない方向に向かって行く。
いやー、2人の心がせつなくて、いたたまれなくて、100分間ずーっと苦しかったですわ(笑)
(なんてドMな舞台)
でも、普通は決して生きられない人生をこうして共に生きられるのが舞台の醍醐味なんだろうなーなんて、考えながらずっと観てました。
この公演はWキャストになっていて、私が観たのは松下×柿澤のヤングチーム。2人とも演技力、歌ともに申し分なくて大満足。いやー注目の若手が次々と出現してくるのには驚かされるやら、頼もしいやら。
こうなると新納×田代のアダルトチーム(?)も観たくなるのが観劇厨の性というもの。だけど、この作品に限っていえば、もっかいあの胸苦しい100分間を絶え抜く自信がちょっと。まぁそもそもチケットぜんぜん出回ってないから、そんな心配は無用ですが(笑)
作品の内容も衝撃だったけど、今、こうした作品が観客に評価され、話題を呼ぶ時代なんだなーということもまたちょっと衝撃だった。
残念ながら観逃してしまった方のために…来年の7月に再演が決まったみたいですよ!@銀河劇場
ああ、でも、ピアノの音色のなか、2人のアツいエネルギーがビンビンに伝わってくる小劇場空間を堪能できたのは幸せだったなー。
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