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2011年3月25日 (金)

花組初日に思うこと

花組公演「愛のプレリュード/ル パラディ」の初日の幕が無事に開いた。
賛否両論あるようだが、私自身は公演が続くことを熱望してきた。だから、心からうれしく思う。

私が公演を続けて欲しいと願う理由、整理してみるとそれは3つぐらいある。
ひとつは、この時期ならではの「タカラヅカの舞台」の効用を信じるからだ。これはまあ、よく言われていることではあるけれど、実際に19日の雪組「ロミオとジュリエット」、そしてこの花組の初日を観劇して、本当にそうなのだと確信した。

とりわけ宝塚の場合、常に整然とした秩序を保ち、一糸乱れぬ姿で歌い踊る、そんな姿もまた、この混沌とした雰囲気のなかで安堵感を与える。これは新たな発見だった。

2つ目は、根っからの舞台人である彼女たちは本来的には演じ続けることを強く望んでいるはず。だからこそ、その想いを何としても守ってあげたい…これはかなり身内的感覚かもしれない。

演じる場を奪われた舞台人は、羽根をもがれた鳥のようなもの。舞台への「執着」は一般人の想像をはるかに超える。たとえ親の死に目に会えずとも、肋骨にヒビが入ろうと、高熱が出ようとも、あくまで舞台に立ち続けようとするのが、たからじぇんぬというもの。根拠のない理由でその想いが妨げられるようなことは、あって欲しくないと強く願う。

そして3つ目は、タカラヅカは過去100年近い歴史のなかで、相当な困難のなかでも、決して演じることをやめなかった劇団である。だから今回もおそらくやめないに違いない…という、これは私の望みというか、むしろ推測だ。

太平洋戦争末期、軍の劇場接収のため宝塚大劇場の公演ができなくなった時期もあったが、その間も各地でドサ回り的な舞台を続けた。いつ空襲に襲われるかもわからない中、ろくな舞台設備も衣装もない中でもなお、演技を磨くことに余念がなかったという。1995年1月17日、本拠宝塚市を直撃した阪神大震災のときにも、わずか2カ月半後という驚異的なスピードで大劇場公演を再開している。こうした伝統を積み重ねてきている劇団ならではのDNAは、確実に今のメンバーたちにも引き継がれているはずだ。

花組初日の終演後、組長の夏美ようさんと、トップスターの真飛聖さんが挨拶したが、それぞれいつもより長く、体の奥底からしぼり出すような挨拶だった。初日を迎えるまでの間、この時期に自分たちが舞台に立つべきかどうか悩みに悩み、皆で長い時間話し合った、「そのことをこの場ですべて伝えようと決めていた」という組長。立場的にも挨拶慣れしているはずの組長が、一言一言、懸命に言葉を探して、訥々とした語り口で話す。

真飛さんも、その挨拶のなかで「今日の幕が上がるまでは、私たちの舞台が本当に受け入れてもらえるのか…本当に怖かった」と、じつに正直に語った。すごく真飛さんらしいなと感じた。その思いは、「こんな時期に舞台を楽しんでよいものか」という観客側の惑いとも重なっていたのだろう。客席中のあちこちから、すすり泣く声が聞こえた。

夏美組長の挨拶の締めくくりの言葉が、「今日、幕が開いて、その答えがわかりました」だった。真飛さんも、2度目のカーテンコールのときは、「もう、迷いはありません」と、いつもの清清しい笑顔に戻っていた。私には、それがうれしかった。急遽、初日に来ることにして本当に良かった。

もちろん、この環境下でどういう形で公演を続けるかの模索は、今後もまだまだ続くだろう。とくに電力不足の問題とは現実的な折り合いをつけていく必要がある(その意味で、3月いっぱいの夜公演が中止になったのは、やむを得ない判断だったかと思う)。現在劇場ロビーの一部が消灯されムーディーな雰囲気となっているが、夏に向けて冷房温度を上げるのはもちろん、場合によっては照明や装置などでの電力消費を抑える「省電力演出」も考えなければならないのかもしれない。それでも公演自体が中止になるよりはずっとマシだ。

今回の花組公演では、公演終了後に出演者たちが持ちまわりでロビーに立ち、募金活動をするという。この発案はすごいことだ。被災地の人たちの哀しみを真摯に受け止め、悩み苦しみ、でも自分たちで道を切り開いていくたからじぇんぬたちは、心優しく誠実で、でも、とても強い人たちだと改めて感じた。

私も、愛するタカラヅカを応援するために、「今の自分にできること」を続けていこうと思う。

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コメント

花組さんの様子、演者、ファンの歌劇への思いを整理して下さってありがとうございました。


そうやって真っ直ぐに話して下さる真飛さん、組長さん、花組さん素敵です。

泣けてきました...

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